YouTube で FX の勉強動画を配信してくれているあきちゃん先生。基本のキから難解な論理まで、持てる知識を惜しみなく無料動画の中で提供してくださっていて、この配信を見て実力を身につけたトレーダーも数多くいることでしょう。
参考リンク:あきチャン准教授のFX研究室(YouTubeチャンネル)
あきちゃん先生が配信を開始されたのは2015年11月。それから今日まで、数百本もの動画をアップされています。
その中でも、「これからトレードを始めたい」、あるいは「始めたばかり」という方に是非ご覧になっていただきたいコンテンツがあります。
あきちゃん先生のトレード理論を、初心者でも学びやすくまとめられた
「初心者応援講座」シリーズ
FXトレーダーを志す「あなた」が、清く正しいスタートを踏み出すための必須マニュアルです。
動画は全部で13本。
ぎゅっとまとめて3回分の記事にまとめて紹介して参ります。
第一回目の本稿は、 <トレード準備編>
次回は <トレード戦略編>
そして最後に <脱初心者編>と分類してみました。
当記事の目的はあきちゃん先生の動画の内容を書き出すことではありません。各章にてまず動画をご視聴いただき、その補足として記事の内容を読んでみてください。
それからもう一度動画を見返してみれば、理解がより深まることと思います。
あきちゃん流のFXを学ぶことで、あなたのトレード人生が花開きますように。
【1】監視チャートの設定
証券会社の選び方
笑いごとじゃなく、FXの会社は急にトんでしまうことがよくあるので大きくて信頼できる会社を選ぶべき、とのことでしたね。
日本の証券会社の中であれば、あきちゃん先生が信頼して使っている「楽天証券」をオススメされていました。
参考リンク:楽天証券
ここでちょっと視野を広げてみると、海外のFXブローカーの中には「口座開設ボーナス」でトレードを開始できるブローカーがあります。
こうしたボーナスはトレードにのみ使うことができるため、自己資金を入金しなくてもトレードが可能です。もちろん、トレードから利益が出ればその分は出金可能。
つまり、ボーナスだけでトレードしている間は、稼ぐ楽しみはあっても資金リスクはまったくのゼロ。
口座開設ボーナスが1~2万円もらえて、さらに豪華なボーナスプログラムを展開している海外ブローカーは「GEMFOREX」だけでしょう。
参考リンク:GEMFOREX キャンペーンページ (公式)
「GEMFOREX」は日本人が海外で立ち上げた、日本人向けの海外ブローカーです。もちろん、日本語でOK。
海外FX最大のメリットは安心の「ゼロカットシステム」
ちなみに、日本の証券会社ではトレードに失敗して口座残高がマイナスになるとトレーダーが負担(追加入金)しなければいけませんが、多くの海外FXブローカーではマイナス分をチャラ(ゼロに戻す)にしてくれます。
だからトレードで大負けしたとしても、自分で入金した以上のお金を失う心配がありません。安心してトレードに臨むことができます。
全ての海外FXブローカーが「ゼロカットシステム」を採用しているわけではありませんが、上記の「GEMFOREX」はゼロカットしてくれる会社です。
国内証券会社を選ぶか、海外FXブローカーを選ぶか、ポイントはいくつかありますが、それは稼げるようになってから考えればいいでしょう。
私ならはじめは資金リスクをゼロに、ボーナスだけでトレードできるブローカーでスタートしたいです。
監視チャートの選び方
あきちゃん先生は、慣れないうちは4枚程度の少ないチャートに絞って監視、トレードすることをオススメされています。
動画の中で語られたチャート選びのポイントは、主に次の3点でした。
1)流動性の高い通貨ペア
2)ドルストレートの通貨ペア
3)通貨ペアの特性を考慮
それぞれの項目を、少しだけ深堀りしてみましょう。
1)流動性の高い通貨ペア
多くのお金が取引されている通貨ペアを「流動性が高い」といいます。
流動性が高いと、良いことが2つあります。
・ テクニカル分析が効きやすい
・スプレッドが狭く設定される
記事:通貨取引量の多い通貨ペアランキングトップ10(IG証券)によると、2019年の取引量の上位10通貨ペアは次のようになるそうです。
EURUSD (ユーロ/米ドル) 24.0%
USDJPY (米ドル/日本円) 13.2%
GBPUSD (英ポンド/米ドル) 9.6%
AUDUSD (豪ドル/米ドル) 5.4%
USDCAD (米ドル/カナダドル) 4.4%
USDCNY (米ドル/人民元) 4.1%
USDCHF (米ドル/スイスフラン) 3.6%
USDHKD (米ドル/香港ドル) 3.3%
EURGBP (ユーロ/英ポンド) 2.0%
USDKRW (米ドル/韓国ウォン) 1.9%
どうやら、トップ3の 「EURUSD」「USDJPY」「GBPUSD」は圧倒的な流動性の高さを期待できることがわかりました。
そして、後の通貨ペアはほぼ横並びのようなものなので、上記からどれを選んでもよさそうですね。
ただし、USDCNY (米ドル/人民元)はやめておきましょう。為替レートの値動きに、市場とは別の圧力が働くことがありそうです。
USDHKD (米ドル/香港ドル)も、上限と下限が決まっているので普通は使いません。
2)ドルストレートの通貨ペア
通貨ペアの中で「USD」を含むもの、つまり、米ドルと他国通貨でペアになっている通貨ペアを「ドルストレート」と呼びます。
あきちゃん先生は、初心者の方はできるだけ「ドルストレート」の通貨ペアを選んだ方がいいとおっしゃっています。
というのも、「ドルストレート」でない通貨ペアは、2つの通貨ペアを掛け合わせた、いわば合成通貨だから環境認識が複雑になるのです。
例えば「EURJPY」であれば、
ドルストレートの一つであるEURUSD の価格と
もうひとつのドルストレートUSDJPY の価格
この2つを掛け合わせたものになっています。
ということは、当事者の「EUR」と「JPY」だけでなく、「USD」も加えて3つの通貨の影響を受けることになります。
互いの相関関係からより精度の高い環境認識ができるようになりますが、これには「なれ」が必要です。はじめはできるだけシンプルに、ドルストレートだけに注目するとよいでしょう。
幸いにして、上述の通りに、流動性の高い通貨ペアのほとんどはドルストレートとなっています。
3)通貨ペアの特性を考慮
あきちゃん先生が選ぶ4つの通貨ペアは、
EURUSD
USDJPY
GBPUSD
そして、AUDUSD
とのことでした。
AUDUSD を選ばれた理由は、オーストラリアと日本では時差が小さいので、相場が大きく動くのも日本の昼間の時間帯になることが多いから、ということ。
これは逆に、夜中にしかトレードする時間を取れない方にとってはユーロや英ポンドの通貨ペアの方がトレードしやすい、ということになりますね。
また、各国の通貨の値動きには特性があります。「英ポンドは値動きが激しい」とか、「カナダドルはキレイなチャートを作りやすい(あきちゃん談)」とか。
そうした特性を踏まえて、お好みの通貨ペアをチャート監視するということでもよいのではないでしょうか。
参考動画:【すぐ使える】FX通貨毎の特徴と勝てるトレード戦略(YouTube)
監視足と執行足
チャートの時間足の表示について、「監視足」と「執行足」という言葉が出ました。
監視足:環境認識をする時間足。普段、表示させている時間足。
執行足:エントリーのタイミングを図るときに切り替える、短い時間足。
あきちゃん先生はデイトレーダーなので1時間足や4時間足を監視足にされています。
スイングトレードやスキャルピングトレードをする場合は、適切な監視足も変わるでしょう。
この動画では言及されませんでしたが、あきちゃん先生のバランス感覚では、
監視足4時間足 + 執行足15分足
監視足1時間足 + 執行足5分足
の組み合わせがちょうどいいと、オススメされています。
移動平均線の設定
あきちゃん先生は、移動平均線の中でも 20EMA と 20SMA を基本戦略にされています。
4時間足は1時間足の4倍の規模で動いていますね。だから、1時間足のチャートで 20 の4倍の 80EMA、80SMAを表示すると、それらは4時間足の 20EMA、20SMA に近似するという考え方です。
この考えがわかっていれば、他の時間足であっても表示するべき移動平均線が判断できますね。
動画内で指定されている移動平均線は次の通りになります。
<4時間足チャートに表示する移動平均線>
20EMA 20SMA ・・・4時間足チャートの期間20
120EMA 120SMA ・・・日足チャートの期間20に比定
600EMA 600SMA ・・・週足チャートの期間20に比定
1200EMA 1200SMA ・・・週足チャートの期間20に比定 (後の動画【8】で追加)
<1時間足チャートに表示する移動平均線>
20EMA 20SMA ・・・1時間足チャートの期間20
80EMA 80SMA ・・・4時間足チャートの期間20に比定
480EMA 480SMA ・・・日足チャートの期間20に比定
なお、目安にする時間足の規模によって、色を決めておくと便利です。
週足規模を示すなら赤、日足規模なら青、4時間足規模なら水色で、1時間足以下の規模はまとめて緑色、といった具合で。
この色決めは後のライン引きにも同じ色をあててください。
こうすれば、時間足を切り替えてチャートの表示範囲が変わっても、見えている線はどのぐらいの時間規模の目安を示しているのかがわかるようになります。
この視覚的判断が、意外と便利。
なお、あきちゃん先生は上記の移動平均線の設定において、同じ期間のEMA とSMAを同じ色にしています。その上で、EMA は実線、SMA は破線で表示するようにして区別していますね。
スマホ版の MT4 では点線にはできないので、線の太さを変えて区別すればよいでしょう。
【2】トレンドを意識してラインを引こう‼
本動画では、主に水平線の引き方について語られています。
トレンドラインについては「初心者応援講座【4】《トレンドラインとチャネルライン》」にて説明されます。
「親波」と「子波」の概念
動画の中で、「親波」「子波」と表現されているところがあります。
これは、現在進行中のトレンドの波の形成は、その直前のトレンドの波の形に影響される、という考え方に基づいています。
例えば、現在のトレンドが上昇トレンドだとしたら、これが「子波」です。
この子波が始まる前に流れていた下降トレンドが「親波」になります。
この親波からの影響については、また、後ほど。
水平線はヒゲ先に引くか、実体に引くか
水平線やトレンドラインを引くときに、ローソク足のヒゲ先にあてるか、それとも実体にあてるべきかという問題があります。
これはどちらでもいい、というかどちらも有用です。
基本的にはヒゲ先を優先してください。ヒゲが長くて実体の端から距離があるような時は実体からも引いたりします。
あるいは、ヒゲ先から引いた水平線と実体から引いた水平線の間の細い帯状のエリアを、水平「ゾーン」とすることもできます。
また、動画の中では、あきちゃん先生は無意識に「あたりの良い線(=よく意識されている線)」を引いているところもありました。これも、ヒゲ先より実体を選んだものとなります。
斜め線で水平線を描画する方法
動画の中で、あきちゃん先生が描画している水平線は右向きに伸びているだけで、左には伸びていませんね。
これは、「水平線」ではなく「トレンドライン」の描画で斜め線を横向きに使っているからです。
こうすることで、チャートを左側にさかのぼって見るときに、ごちゃごちゃ邪魔な線になりません。
【3】環境認識のツボ
あきちゃん先生の駆使するテクニックは無限にありますが、まずは何はともあれダウ理論でトレンドを判断することです。
大事なことは、より多くのトレーダーが「トレンド中である」という認識を持っているときにその方向へトレードをすること。そのために、初心者でも「多数派のトレンド判断」に準じやすい環境認識の方法を解説してくださっています。
言葉の定義について
動画内であきちゃん先生が使用されている言葉のうち、知っていなければ意味がわからないものがありますので説明しておきます。
ダウ理論
ここでいう「ダウ理論」は、「トレンドは明確な反転シグナルが出るまで継続する」という定義のみを指します。
つまり、トレンド判断にかかる下記の共通認識のことです。
↑ 高音と安値をともに切り上げると上昇トレンド発生
↓ 高値と安値をともに切り下げると下降トレンド発生
実際、リチャード・ダウその人が「明確な反転のシグナル」としてこのような値動きを定義づけたのかどうかは定かではありませんが、現代のトレード界隈においてはこれこそ「ダウ理論」ということになっています。
いずれにしろ、世界中のトレーダーの共通認識となっている考え方です。必ず理解するようにしましょう。
戻り高値・押し安値
高値と安値を切り下げながら下降トレンドを形成しているとき、最も新しい高値のポイントを「戻り高値」といいます。あきちゃん先生と一部のトレーダーは「ラス戻し」とも。戻り高値を超えて価格が上に上がったら、下降トレンドの終焉につながる可能性があります。
高値と安値を切り上げながら上昇トレンドを形成しているとき、最も新しい安値のポイントを「押し安値」といいます。あきちゃん先生と一部のトレーダーは「ラス押し」とも。押し安値を超えて価格が下に下がったら、上昇トレンドの終焉につながる可能性があります。
ネックライン
ネックラインの機能は、相場の転換点となる節目のラインであり、リテスト(押し戻りの目標の一つ)のかかってくる目安でもあります。
ただし、「ネックライン」とネット上で調べてみても、チャートパターンのネックラインが出るばかり。あきちゃん先生のように、波の高値安値に対して「ネックライン」と称するのは珍しいようです。
しかしながら、やはりこの「ネックライン」は「ネックライン」なのです。動画で解説されている通り、このラインを超えることでトレンドの発生or継続と認識される重要な節目なので。
トレンドの判断を図解
戻り高値と押し安値、そしてネックラインからトレンドを判断する目安について、動画内であきちゃん先生が解説された図を以下に整理してみます。ご参考に。
実際のチャートで見てみると、こうなります。
【日足チャート】
日足では上昇トレンド中。ネックラインを上に抜けた後、またそのネックラインの下に戻ってきた状態ですね。
上昇トレンドは継続中ですが、あきちゃん先生の提唱ルールではここで下位足に切り替えて判断することにします。
【4時間足チャート】
高値を若干切り下げ、ネックラインをしっかり下に抜けて安値も更新しました。上昇がち戻り気味ですが、まだネックラインより下にありますね。ルール上は下降トレンド判定です。
【1時間足チャート】
下降トレンドだったところ、ネックラインと戻り高値も抜き返して上に出ましたね。しかし、上昇波として高値・安値切り上げはしていないので、トレンド転換はしていません。
1時間チャートが監視足なら、さらに下位足で様子を見るべき局面です。
・・・と、ここまで私なりにチャートに波形を描いてみましたが、なれない間はどの程度の波で高値安値を見るべきか、わかりにくいと思います。
どうしても難しいようであれば、はじめは補助として「ZigZag」(ジグザグ)というインジケーターを使ってみるといいでしょう。コチラ↓から無料のものが入手できます。
参考リンク:【ダウ理論】スーパーZigZag(無料版)(GogoJungle)
インジケーターのインストール方法などは、そちらのサイト内で解説されていますのでご参照ください。
【4】トレンドラインとチャネルライン
トレンドラインの引き方と効能
トレンドラインの引き方というのは、実はトレーダーによってさまざまです。
あきちゃん先生の教えるトレンドラインの引き方は、他のトレーダーが教えるものと異なるかもしれませんし、当サイトの別のページ で解説するやり方とも異なります。
あきちゃん先生のトレンドラインは
直近高値をブレイクした足元のヒゲ先を線でつなぐ
直近安値をブレイクした頭のヒゲ先を線でつなぐ
ということが絶対ルールとなっています。
このトレンドラインを抜けたらトレンド転換、ではなく、転換方向に高値と安値を更新したらトレンド転換となります。
また、このトレンドラインを引くことで、次のような効能があります。
効能1)トレンドラインに沿って値が反発する
効能2)トレンドラインの根っこの価格が意識される水平線になる
実は、高値や安値をブレイクするためには大きなエネルギーを必要とします。このようなエネルギーを発したトレンドラインの根っこには、多くのトレーダーや資金が集まった、ということでもあります。
このため、その根っこの価格に損切りや利確などの注文が集中しやすくなり、意識されやすい水平線になる、ということです。
チャネルラインの引き方と効能
相場が横向きに動いているレンジ状態の時は、その上値と下値に水平線を引いてレンジの範囲を特定することができますね。
このレンジを横ではなく斜めに、上のラインと下のラインで範囲を特定したものが「チャネル」である、というのがあきちゃん先生の解説でした。
チャネルを構成するのは、子波の右側大外の斜め線と、親波の高値・安値。
子波=現在のトレンドが形成されてきたら、右側の大外をつなぐ線を描きます。これがチャネルライン。並行移動して親波の最後の高値・安値に合わせてください。
これでチャネル候補の完成です。
このチャネルというもの、よく使えます。
実際のチャートで見てみると、まるで、川。
相場のトレンドを転換させるポイントは色々ありますが、チャネルラインも実によく効いて、反発やトレンド転換につながる可能性があることがよくわかりますね。
ご覧のように、チャネルラインの候補は何本かあって、そのうちどれが強く効いてくるのかは相場次第となります。
参考リンク:あきちゃん准教授 チャネル(YouTube検索)
こうして相場の環境認識が進むと、次はどのようにトレードにつなげられるのか。
相場に臨む戦略。
利益を生み出す技術。
まずは基本からじっくりと、あきちゃん先生の「初心者応援講座」で学んでいきましょう。
本稿では「トレード準備編」として、手法を学ぶ前のチャートの整理の仕方をまとめてみました。
続きの「初心者応援講座」はもっと実践的な内容になりますので、どうぞお見逃しなく。
ご武運を、祈ります。