この手法に向いている人:ラインの引き方がわからない。トレンドの判断も難しい。でもそこそこでいいから勝ちたい、という人。
タイプ:トレンドフォロー
時間足:15分足
取引頻度:月間約30回(15分足チャートの場合)
勝率:6割
満足度:☆☆☆★★
トレンドラインや水平線て、説明を受けると簡単なようで、やってみると思いのほか難しいですよね。
ラインの引き方もわからず、上位足からの環境認識もできない素人トレーダーであっても勝てる手法があるといわれれば、あなたは知りたいと思うでしょうか。
本稿で紹介する手法は、初心者でもできる『ハーフスイング手法』を紹介されていた、あきちゃん先生による手法です。
勉強はすれどもなかなかトレードに結びつかない初心者さんからのお便りで「それでも、そこそこ勝てる手法を教えてほしい」という相談を受けたあきちゃん先生が、考案、というか、トレードの基本に則ったやり方でルールを極力シンプルにしたものを動画でお伝えされていました。
そういう経緯ですので、この手法は、あきちゃん先生が実際に稼いできたトレードではないと思われます。
なので、あきちゃん先生のことは信頼してはいるのですが、本当にこの通りのやり方で、トレンドラインも水平線も引かず、それどころか上位足のご機嫌伺いもせずに勝てるものなのか、本稿で検証してみたいと思います。
ラインも引かず、トレンドも読まない簡単手法
トレードルール
<エントリー条件> ※買いトレードの場合を表記。売りの場合は反対にしてください
条件1. 20EMA、80EMA、200EMA のパーフェクトオーダーになっていること
条件2. 前回の高値を勢いよく抜き去っていること
条件3. 20EMAからある程度離れて上昇していた価格が、一時的に下げてきていること
エントリートリガー:下げている価格のローソク足に引いた斜め線を、陽線でブレイクしたとき
<エグジット目標>
利確:直近高値に設定
損切り:直近の押し目の少し下(下の検証では2pips下方に設定)
備考1. 移動平均線の組み合わせ
この手法は15分足で説明されていますので、80EMAは1時間足(15分 x 4 = 60分)の20EMAに比定されます。
つまり、15分足のチャートを見ながら、1時間足の相場の流れも考慮に入れているということ。
時間足を変えてトレードするのであれば、1時間足基準なら同じく80EMAで4時間足の20EMAに比定、日足基準なら100EMAで週足の20EMA(週の稼働日を5日間と想定)として考えるとよいでしょう。
備考2. 前回の高値を勢いよく抜き去るということ
トレンドを読まないとしても、前の高値をズバッと抜けているかどうかぐらいは、見て分かるので見てください。
これを繰り返すことで相場はダウ理論で定義されるトレンドを継続していることになりますし、なによりこの手法で大事なのは「勢い」ですから。
過去チャートで検証
過去チャートから3ヶ月分を追いかけてみました。
通貨ペア:EURUSD (スプレッド1.2pips)
時間足:15分足
損切り幅:直近押し戻りから2pipsの余裕をとって
その他のルールは上記と同じです。
ルールに合致すれば、ひとつの押し戻りから2回トレードすることもあります。
<2019年7月>
<2019年8月>
<2019年9月>
3ヶ月で合計88回のトレードになりました。
勝ち負けの値幅と勝率は、次の表をご覧下さい。長い表ですので、下の表は縮めています。画像をクリックしていただければ、表全体が見られるようになっていますので、気になる方はご確認ください。
というわけで、どの月も勝率は6割。トレンドラインも水平線も引かず、無裁量のルール通りでこれだけの勝率は悪くありません。獲得pipsもプラスになっているので、むしろ良好なトレード手法といえます。
損切り幅は直近の押し戻りより2pips離して、スプレッドも1.2pipsの設定なので、負トレードのときはこれだけで3.2pipsのマイナスがついてしまいます。ですので、今回のようなスキャルピングに近いトレードであれば、勝率が悪いと損失が重なっていくことも少なくありません。
それでも一応、これだけの結果を出しているということは、研究のし甲斐のある、期待度が高いトレードルールと考えていいのではないでしょうか。
ひとつの通貨ペアでは1日に何度もトレードチャンスがくるわけでもないので、いくつもの通貨ペアを同時に監視することで稼ぎを増やしていきましょう。
動画内であきちゃん先生も仰っていますが、これは多くのベテラン投資家にとって基礎のような手法でもあります。プロの投資家は、これをベースに利益を伸ばす研究をしているとのこと。
確かに、ベースでこれであれば、研究のし甲斐はありそうです。
フィルターをかけてみると意外な結果に
というわけで、勝率を向上させるべく、いくつかの簡単なルールでフィルターがけをしてみました。
ルールを増やすにしても、基本的には『ひと目でわかる簡単なルール』とします。そうでなければ本稿の主旨である、「ラインも引かない簡単な手法」のコンセプトから逸脱してしまうからです。
日足の20EMAと同じ向きのトレードに限定する
上位足のトレンドと同じ向きでトレードすることで勝率が上がるという検証は、『上位足の波に乗れば本当に勝率が上がるのかを検証してみた』 でしました。
今回は、上位足の移動平均線と同じ流れをつかむことで、上位足に従ってトレンドフォローしていることにしましょう。
15分足チャートで1920EMAを表示すれば、日足の20EMAと比定することができます。
上の検証記録の表の中で「1920EMA」という項目に○がついていれば、そのトレードは「1920EMAの向きと同じ方向のトレードである」ということになります。
この日足に沿ったトレードだけを集めて集計すると、次のようになります。
意外というか、勝率は同じく約6割と、大きな違いはありません。
しかしですよ、よく見てください。
トレード回数はいくらか減ったものの、獲得pips数はそんなに減っていません。
つまり、1トレードあたりの獲得pips数は増えているということです。
この1920EMAに限定したトレードの平均獲得pipsは1.7pips。フィルターなしの3ヶ月間88回のトレードのときは平均獲得pips1.3pipsでした。
この差は、大きい。
結果的には、勝率を上げることよりも、トレード自体への期待値が向上したということでした。
20EMAを絡めてみる
次に、20EMAとのタッチを見てみましょう。
押し戻りの調整波が20EMAまで到達しているかどうかを判断基準に加えてみます。
この際、どの程度タッチしているかは考えません。軽くタッチでも、かなり深くクロスしているでもよいことにします。
同じく、上の検証結果の表からフィルタリングして抽出しました。
結果はこちら。
先ほどの1920EMA = 上位足20EMA のときと同じです。
勝率は6割と変わらないものの、1トレードあたりの獲得pipsが向上、期待値が見事に向上しています。
フィボナッチリトレースメントを併用する
では、フィボナッチリトレースメントを利用してみてはいかがでしょう。
このやり方は、正直『ハーフスイング手法』に近くなってしまいますが、本稿ではフィボナッチリトレースメントの23.6%を超えることだけに着目して、フィボナッチのどこまでいってから反転しても良いものとします。
エントリートリガーはもちろん、ルール通りにトレンドライン的ラインをトレンド方向にブレイクしてきたときです。
この検証結果は・・・、
やはり上の2つと同じでした。勝率約6割。
いや、強いていえば、1トレードあたりの獲得pipsがさらに大きく、トレードの期待値が向上されています。
フィボナッチの反発というのは、より効果が高いということかもしれませんね。
この手法を最高に活かす方法
以上の検証ではどうしても勝率は6割。
では、視点を変えて、勝率でなくリスクリワードを向上させてみてはいかがでしょうか。
資産を守るためにリスクリワードを重視する
リスクリワードとは、
リスク=損切りまでの値幅
と
リワード=利益確定までの値幅
の比率を表す数値です。
例えば、
あるトレードが損切りの設定が10pipsの逆行を食らったときで、利益確定を20pipsの順行に設定している場合、
リスク1:リワード2
ということになります。
上記の3ヶ月分の検証をやりながら感じたのは、単純にルール通りのトレードをやっていると、かなりリスクリワードの悪い条件でエントリーすることが多くあるということでした。
たとえば、次の画像をご覧下さい。
画像左のトレード(JUL13)では、だいたいリスク2:リワード1の比率になっています。
いや、このルールでは押し目の安値から2pips下が損切りラインで、かつ1.2pipsのスプレッドなので、ここで見えるよりさらに3.2pipsの損失が予想されます。
そして、このトレードは幸い勝ちの結果が出ていますが、勝ち取った値幅はたったの2pips。
これは正直、やらなくてもいいトレードだったのではないでしょうか。獲得値幅(2pips)に対して、リスクが大きすぎます。またこのリスク:リワードは、エントリーする時にはわかっていたことでもあります。
一方で、先ほどの画像の右側のトレード(JUL14)は、リスク1:リワード2 ぐらいの設定です。こうしたトレードは、ある意味では理想的だと思いませんか?
ということはですよ、リスクリワードを1:1、あるいは1:2以上という条件をあなた自身で決めておいてエントリーするかどうかを決めてみたらいかがでしょうか。
スプレッドコストまで含むリスクリワードが1:1以上という条件下でも勝率6割を維持できるのであれば、もう口座の残高が増えていくことは決まったようなものです。
そしてこれは、ラインが引けなくても、相場の環境認識ができなくても、関係ありません。算数の問題です。
1回のトレードのリスクを固定化する
加えて、1トレードあたりのリスクを固定化させることもできます。これも、算数の問題です。
例えば、1回のトレードで口座残高の1%までをリスクとして許容する場合、、、
通貨ペア:EURUSD
口座残高:1000ドル > 1%は10ドル
損切りまでの値幅:10pip
だとすると、EURUSDのようなドル建て通貨では
1ロットあたり1pipの値幅で10ドルの損益
になるので、上記の例題では損切りまでの距離が10pipsなので
1ロットでエントリーしたとすると損切り時の損失は100ドル。
しかし損失は10ドルまでに限定したいので、エントリーするべきロット数は
許容損失額10ドル ÷ 1ロットでの損失100ドル = 0.1ロット
という理論値が出てきます。
ここまでは練習。
本題では、これにスプレッドコストを足してみましょう。
EURUSDのスプレッドが1.2pipsだとすると、エントリーできるロット数はいくらになるでしょうか??
解答。。。
許容損失額10ドル ÷ (1ロットでの10pips+スプレッド1.2pipsの損失112ドル) = 0.0893ロット ≒ 0.08ロット
これはUSDベース の通貨ペアなのでドルで計算しましたが、USDJPYやEURJPY、あるいはEURGBPのように 別の通貨ベースの場合は換算が必要になります。
換算率は計算して出してもいいですが、デモ口座で実際にエントリーしてみて含み損を確かめてみるのが、計算間違いの心配もなく簡単です。
例えば、スプレッド3.0pipsの通貨ペアで1ロットのエントリー(買いでも売りでも)した瞬間に15ドルの含み損から始まったら、その通貨ペアの1ロット x 3pipsのコストは15ドル、つまり1pip 動いたときの損益は5ドルだということがわかります。端数が出たら切り上げて、安全な方に考えましょう。
こうして、口座残高に対して任意のリスクをとったロット数でエントリーができるようになりました。
例えば10万円の残高で1%のリスクを取れば、1000円。
このトレードに負ければ、残高は9万9千円になって次のトレードのリスクは990円。
このトレードに負ければ、残高は9万8010円になって、次のトレードのリスクは980円。
リスクを固定化してロット数を決めていけば、このように残高が少なくなればなるほど、一回のトレードに費やす資金も少なくなります。
逆にトレードで利益が出れば、増えた残高に対して同じ割合でロット数計算をするので、口座残高が増えれば増えるほどトレードに投入する資金も増えていきます。
これはつまり、複利が利くということ。
毎回のトレードで計算するのが面倒なような気もしますが、エクセルで計算シートを作っておけば、毎回数秒の作業で済むから楽なものです。
本稿のような時間足が短いトレードの良い所はトレードチャンスが多くなることであり、残念な所は一回のトレードで取れる値幅が少ないことです。なので、こうしてリスクを固定化して複利を利かせることでトレードの稼ぎを効率化できるのではないでしょうか。
何度も言いますが、これはFXのトレードができるできないでなく、算数をするかしないかの問題です。
本稿で学んだ勝率6割かつリスクリワードの良いトレードと、このリスク固定化を組み合わせれば、FX素人でも勝ちトレーダー待ったなし!です。
シグナルツールをプレゼント
あきちゃん先生も仰っていますが、この手法をするなら一度に多くの通貨ペアを表示させて監視するのがよいだろうとのことです。
その理由は、一通貨ペアだけでは稼ぎが少な過ぎるからなのですが、その問題はまあ、上記のリスク固定化 x 複利トレード作戦でも賄えるでしょう。
複数通貨ペアを選ぶなら、スプレッドの小さいものから選ぶことをオススメします。
さて、たくさんの通貨ペアを監視するといっても、表示している全てのチャートに目配り気配りすることができるでしょうか。
できる人も、いるでしょうね。
あるいは、2時間ぐらいなら集中してトレードできるということも、あるでしょう。
では、パーフェクトオーダーが発生したときにシグナルが発生するようにできれば、どうでしょう。シグナルが来た時にチャートを見始めるようにするならば、通貨ペアの10でも20でもできそうでしょうか?
MT4を稼働し続ける必要はありますが、シグナルが来るまで家事をするなり、マンガを読むなり、仕事をするなりしていればいいでしょう。シグナルが出たら、15分に一回チャートを見るようにして、エントリーチャンスを待ってください。
どうでしょう、トレードの負担が減りますか?
そんな楽をしてもいいのかどうかといえば、いいんです。
むしろ、その方がいいんです。
FXトレードというのは難しく考えず、決められたルールの通りにパッパッとやってしまうことが大事ですから。
難しいことを考えるのは、特定の(簡単な)手法である程度の経験をつんで、トレードを見直しながら改善方法を考えるときでいいでしょう。
トレードのときに考えすぎるせいでルール通りのトレードができなかったら、逆効果ともなりますから。
というわけで、そんな「パーフェクトオーダーを知らせてくれるシグナルツール」を用意しましたので、よろしければご利用ください。
シグナルツール : Perfect Order Signal
まとめ
・ ラインも引けない、上位足からの環境認識もできない、そんなトレーダーでもこの手法で勝率6割が期待できる
・ リスクリワードの悪いトレードを避け、損小利大を徹底することで効率よくトレードする
・ 口座残高からの比率でリスクを固定化、限定化することで、負ければリスクヘッジ、勝てば複利運用と、利益の最大化を図ることができる
・ いくつもの通貨ペアを同時にトレードすることで、利益を増やしたい。サインツールでチャートの監視を補助してもらえば楽になる