EAを選ぶときって、皆さんはどのようなデータを重視されているでしょうか。
利益率?
プロフィットファクター?
実際のフォワード運用の収益額?
それとも、リスク重視?
さまざまな考えがあるかと思いますが、本稿では各EAを「同一のリスクで比較すること」に注目してみました。
投資家のプラットフォーム GogoJungle ではEAのフォワード実績のデータから運用リスクを定数化し、「推奨証拠金」として算出しています。
そのEAの運用実績からするとこのぐらいの証拠金が望ましい
という数値ですので、これをもって「リスクの一定化」と仮定することができます。
口座残高ではなく推奨証拠金に対していくら稼いだか。これを同一リスク下での収益率として比較してみようというのが本稿の試みです。
比較対象のEAは、過去1年間(~2021年5月30日)における各種ランキングのトップランカーから選びました。
どの種類のランキングの上位にあるEAが最も収益を期待できるのか、年利ベースでの比較をご覧ください。
なお、推奨証拠金についての詳しい理解については、こちら↓をご参照いただけましたら幸いでございます。
関連記事:FX初心者必見!ゼロ or 少資金で始める“超”低リスクEA
参考リンク:初めてのEA選び!EAの推奨証拠金の計算方法(GogoJungle)
- 1. 売れ筋ランキングトップ:CROCUS_EURJPY(年利28.7%)
- 2. リアル運用ランキングトップ:あんずα(年利20.4%)
- 3. 収益率ランキングトップ:Swing_Max_EURAUD(年利76.8%)
- 4. 収益額ランキングトップ:ユーロエーン EURJPY(年利37.3%)
- 5. プロフィットファクターランキングトップ:reserved_fund_system(年利17.2%)
- 6. リスクリターンランキングトップ:ESCADA-EURJPY-(年利2.72%)
- 7. (特別枠)低リスク低予算EA代表:ナンちゃんピンちゃんユーロポン(年利85.4%)
- 8. (特別枠)将来有望EA代表:英神楽(EIKAGURA)(年利291.7%)
- 9. まとめ
売れ筋ランキングトップ:CROCUS_EURJPY(年利28.7%)
過去1年間の売れ筋ランキング1位「Premia_Scal_USDJPY_M1」2位「Walkure_01」は不調なので、ここでは第3位の「CROCUS_EURJPY」を採用しました。
メリット:順調な右肩上がりの資産曲線
「CROCUS_EURJPY」は1ヶ月の売れ筋ランキングで堂々1位を獲得。GogoJungleで今もっとも売れているEAです。
詳細を見ると、確かに素晴らしいEAです。
まず、なんといっても順調な右肩上がりのフォワード実績。含み損のオレンジ線もほとんど目立っていません。
そして、目を引くのはフォワード収益が非常に高いことです。
1年1ヶ月で57万円も稼いでいます。
デメリット:推奨証拠金が大きめ。・・・だがしかし
フォワード実績を一見すると調子は良い。これは確かなのですが、よく見ると推奨証拠金は184万円となっており、リスクが小さいとはいえません。
・・・なのですが、実はこれは取引のポジションの大きさが1ロット(10万通貨)もあるためなのです。
他の多くのEAと同じ0.1ロットに設定していたとすると、推奨証拠金も10分の1で済むし、ドローダウンも10分の1です。
その代わり、収益も10分の1。
パフォーマンスを年利換算にしてみると、28.7%というまあまあの数字になりました。
売れ筋のEAといっても、データを分解してみるとこんなものです。
確かに優秀で安定感のあるEAではありますが、他にも素晴らしいEAはもっとあります。
本稿はこれを伝えたくて書いているようなもの。
以下のラインナップを比較していただいて、有用なEAを判断するときのヒントになれば幸いです。
リアル運用ランキングトップ:あんずα(年利20.4%)
GogoJungleで実測されているフォワード運用実績のランキングです。
金額でなくピップス(pips)で実績を出しているところがリアルですね。
ランキング1位の「あんずα」を紹介します。
メリット:圧倒的な運用実績
AUDNZD のボラティリティが一定幅に落ち着いていることに目をつけて、損切りにかからないよう設定しているEAです。
その実力は、リアルな運用で1年間で5980pips の稼ぎ、
・・ではなく、フォワード開始の2020年11月から2021年5月の、たった半年ちょっとで5980pips も稼いでいるということです。
1年間あれば、1万pipsを突破しているかもしれません。
デメリット:相場が変われば使いものにならないかもしれない
上記の通り、AUDNZD のボラティリティの特徴に依存したEAです。
相場の様子が変わって期待している値動き幅を突き抜けてしまったら、800pips の損切りに向かってしまうかもしれません。
詳細ページにも次のくだりが書かれています。
バックテストと数か月の実運用テストを以て、動作の安定が確認できましたのと、昨今 AUDNZDが本EAに合っている時期でしたので、公開させて頂きます。
つまり、AUDNZD の相場次第で「あんずα」は使い物にならないかもしれないということですね。
含み損も大きいし、私だったら、ちょっと手を出しにくいEAです。
収益率ランキングトップ:Swing_Max_EURAUD(年利76.8%)
ここでいう収益率は初期証拠金に対してではなく、フォワード実績から計算された推奨証拠金に対しての収益率になります。
ほとんどのEAのフォワードは100万円の初期証拠金から始まっていますが、実際は運用リスクに基づいて証拠金を決めなければいけません。推奨証拠金をベースに収益率を算出するというのは、妥当な情報といえるでしょう。
メリット:相場との相性がよければ爆発的な収益
さすが「Swing_Max_EURAUD」は収益率第一位だけあって、年利が非常に優秀です。
ただ、フォワード実績を見ると右肩上がりになっているのは2020年4月から11月まで。それ以前と以後は横ばいが続いています。
相場とロジックの相性次第では爆発的な収益を出し、
そうでない時は横ばいで大きな損も出さない。
そんな印象のEAといえますね。
潔ささえ感じられる、むしろこういうEAが好みだという方もおられることでしょう。
デメリット:ロジックが不明
詳細ページを見てもロジックがよくわかりません。
日本の早朝に当たる時間=三大市場が閉じてボラティリティが小さくなっている時間に限定してトレードしていることはわかりますが、、、それ以外ははっきりいって、謎です。
なぜEURAUDなのに朝スキャ?
早朝にだけエントリーするというのはいいとしても、決済もその時間帯に限定するのはなぜ?
利確や損切りについては、どのようにお考えなのでしょうか~~?
勝てば官軍、ロジック詳細なんか興味ないという方も多いと思いますので、こちらは大したデメリットではないかもしれませんけどね。
収益額ランキングトップ:ユーロエーン EURJPY(年利37.3%)
1年間で最も稼いだEAのランキングです。
なにはともあれ、わかりやすい。
堂々1位の「ユーロエーン EURJPY」は、基本ロット0.03(3000通貨)でありながら1年間で136万円を稼ぎ出しました。これがナンピンEAの威力なのでしょう。
ちなみに、1ロット(10万通貨)でトレードする「CROCUS_EURJPY」は同ランキングで26位でした。
メリット:キャッシュバックをがっぽり狙える希少種
フォワード実績での収益額が過去1年間で136万円。
2年9ヶ月で417万円。
ナンピンを駆使して利益の伸びがハンパないEAです。
とはいえ、それはナンピンのリスクと引き換えのハイリターンでもあります。
「ユーロエーン EURJPY」の隠れた魅力は、ずばり、キャッシュバックです。
海外FXにおいて、キャッシュバックの金額は取引のロット数に比例します。
そして、この「ユーロエーン EURJPY」は毎月30ロット前後もトレードをするモンスター級で、キャッシュバック向きといえるのです。
2020年の1年間では、なんと合計で360.78ロットもトレードしました。
海外ブローカーの GEMFOREXなら、キャッシュバックサイトTariTali を通してキャッシュバックをもらえば、1ロットあたり0.8pip =800円ものキャッシュバックがもらえます。
360.78ロット × 800円 = 28万8,624円
2020年だけで28万円もキャッシュバック!
GEMFOREX は入金に対して100%のボーナスをもらえるので、大きな証拠金が必要なEAにはピッタリの組み合わせといえます。
これだけでも、良いお小遣いになりますね。
(余談)キャッシュバック優位なこのタイプのEAは、普通は市場に出回りません。ミラートレードのようなシステム(MAM)にしたり、新しく取引口座を開設させて販売者に紐付けたりして、そのキャッシュバック(に相当するもの)は販売者に入金されるシステムにしてしまうのが一般的です。代表例が「神龍」(→参考ページ)。利用者はトレードで稼ぎ、リベートは販売者へ。・・・というわけで、この種のEAで一般に販売されている「ユーロエーン EURJPY」は貴重な良作といえます。
関連記事:キャッシュバックはTariTaliが最強とわかる理由5選+@
関連記事:GEMFOREXの良いとこ悪いとこユーザー目線で全部いう
デメリット:ドローダウン(=リスク)が大きい
確かに期待できる利益は大きいですが、最大ドローダウンが150万円を超えているのが気になるところ。
フォワードテストは証拠金100万円から開始されていますので、もしもそのような大きなドローダウンを初期に経験していたら、その時点で全額損失になる可能性があったということです。
ある程度大きなリスクまで許容できる方でなければ、扱えないでしょう。
ドローダウンが大きいので、推奨証拠金も大きくなって、まさかの400万円超。
この推奨証拠金をベースに運用したとしたら、年利に換算して実に37%。いや、それでも意外と悪くないですね。さすがナンピンEA。
ちなみに、上記の収益額はベースを0.03ロットでトレードしているものですので、ロットを下げてもせいぜい3分の1まで。
証拠金が140万円ぐらいで始められる方なら、利用を検討してもいいのではないかと思います。
プロフィットファクターランキングトップ:reserved_fund_system(年利17.2%)
プロフィットファクターは総利益に対する総損失の割合です。
PF = 総利益 ÷ 総損失
合計の利益がプラスマイナスゼロでれば、プロフィットファクターは1。利益が大きく損失が少なければ、プロフィットファクターは大きくなります。
通常であれば、良いEAでも期間が長くなるに従ってプロフィットファクターは1に収束していくものですが、稀にとんでもないプロフィットファクターを叩き出しているEAが存在します。
そのロジックには、ある共通点が・・・。
メリット:基本的に負けない
こちらのランキングトップの「reserved_fund_system」はプロフィットファクターが大きいどころではありません。
なんと過去1年間のデータでプロフィットファクター8,411.93という、あり得ない数字が出ています。
その秘密は・・・
ずばり、損切りをしないことです。
全てのポジションが、利確もしくは建て値付近での決済になっていますので、
平均損失 −10円
最大損失 -24円
という、極端に損小利大な実績が積み上がっています。つまり、プロフィットファクター計算の分母がほぼゼロみたいなものだということですね。
それでも破綻していないということは、運がいいのか、はたまた実力か。どちらでしょうか。
デメリット:損切りしない = 負けるときは全損するとき
両建てで含み損を相殺しているとしても、含み損(=リスク)は膨らむときは膨らみます。
2019年10月から2021年5月(20カ月間)の最大ドローダウンは313,000円。
1997年1月から2010年4月(13年と4カ月)の最大ドローダウンは100万円を超えています。
ポジションの大きさは全て0.01だから、100万円は10万pipsですよ。複数ポジションとはいえ、バックテストで10万pipsの含み損を抱えたEAって、どうなんでしょう。
ドローダウンが強制ロスカット水準に達したら負け。それまでは、勝ち。
かといって、リスクを加味した推奨証拠金で運用しても、年利が17.2%しかないので原資回収できるまで5年以上かかってしまいます。これはリスクに見合わない。
プロフィットファクターが極端に大きなEAは、このタイプが多いようです。
リアル運用ランキングトップの「あんずα」もこのタイプ。ご注意を。
(邪推ですが・・・)上述のバックテストは2010年まで。そしてフォワードテストは2019年から。なぜか、ここに9年間の『穴』がありますね。たぶん、この間に一度、もしくは何度か、口座が破綻したものと考えられます。邪推です。
リスクリターンランキングトップ:ESCADA-EURJPY-(年利2.72%)
リスクリターン率 = 合計収益 ÷ 最大ドローダウン
ランキング1位の「Sakura_USDJPY」と2位の「MAX_SPPED_SCAL_V2」はともに賞味期限切れのようですので、今回は第3位の「ESCADA-EURJPY-」をご紹介します。
メリット:ドローダウンが極端に小さい過去1年の運用実績
過去1年間は絶好調で、最大ドローダウンがたったの3880円。
損小利大で勝率の高いトレードが実現できています。
実際には、2016年9月のフォワードテスト開始からはじめの1年半は収支は横ばいだったことが見てとれますが、2018年3月からは相場とロジックが合致した様子。
以来、3年間以上の長期にわたり右肩上がりを継続しています。
デメリット:エントリーが少なすぎて収益性が低い
トレード回数を見てみると、2016年から今(2021年5月)まで、49回しかありません。
1年あたり10回程度のエントリーということになります。
トレード内容は良くても、トレード頻度が少ないので収入が伸びないのは困ったところ。
EAでガンガン稼ぎたいという方には向いていません。
その一方で、長期的に資金を守りつつ低リスクで安定的に運用できるので、銀行の利子よりは良い投資になると思われます。
(特別枠)低リスク低予算EA代表:ナンちゃんピンちゃんユーロポン(年利85.4%)
推奨証拠金が低いほどリスクが低い!を前提としてEAを比較してみた前記事『FX初心者必見!ゼロ or 少資金で始める“超”低リスクEA』 で紹介した「ナンちゃんピンちゃんユーロポン」。
推奨証拠金たったの3万4千円という超低リスクなEAを年利換算にするとどうなるか、ぜひこちらでも比較してみてください。
ちなみに、「ナンちゃんピンちゃんユーロポン」は上記の収益率ランキングでも堂々の4位に入っています。しかも、価格も他より安い。ぶっちゃけ、お買い得なEAです。
メリット:利益率85%/年でがっぽり儲かる期待値大
フォワード期間1年半以上の実績を年利に換算すると、なんと85%という高収益率を達成。
推奨証拠金33,982円 のデータはベースのポジションサイズが0.01ロットですので、仮に10万円の証拠金でスタートすれば0.03ロットに設定、年間8万5千円の収益が期待できるということです。理論上は。
証拠金100万円なら、さらに理論値は10倍です。理論値は。
GEMFOREX や LAND-FX であれば入金に対して100%のボーナスがもらえるので、5万円の自己資金が10万円、50万円の自己資金が100万円の証拠金で始めることができます。
そうすると1年もかからずに自己資金分は稼げる見込みになってきますので、その時点でいったん出金しておけば、以後のリスクはゼロという考え方もできますね。理論的には。
運用上の注意:ナンピン・マーチンなので相応のリスクを覚悟すること
ナンピン・マーチンゲールというのは、ナンピンするときの追加ポジションを大きくしていく手法です。
はじめが0.01ロットだとしたら、
追加ポジションは0.02ロット、
さらに追加するときは0.04ロット、
このような要領で倍々と増えて、決済までは全てのポジションを同時に保有することになるので、さらに逆行してしまった時の含み損の増え方は雪だるま、どころではなく大雪崩になってしまいます。
「ナンちゃんピンちゃんユーロポン」では20年分に及ぶかなり長期のバックテストでも、最大ドローダウンが約9万円という優秀な実績を誇っています。それでも、やはりナンピン・マーチンのリスクは潜在的にあるものと考え、ある程度の利益が出たら出金して利益確保しておくべきだと考えます。
(特別枠)将来有望EA代表:英神楽(EIKAGURA)(年利291.7%)
同じく前記事『FX初心者必見!ゼロ or 少資金で始める“超”低リスクEA』 でご紹介の「英神楽」。
収支が好調で、含み損期間より含み益期間の方が長いという優秀なスイングEAとなります。
ただ、フォワードがまだ3ヶ月しかないので本記事で採用している1年間ランキングには入れませんでした。
私のいま最も注目するEAとして、特別枠でご紹介させていただきます。ぜひ、上のトップランカーのEA達と比較してみてください。
メリット:的確なエントリーポイントで利益を確保
含み益が大きく膨らむということは、よほど的確なポイントでエントリーをしている証拠です。
今年(2021年)3月からのフォワードテスト開始で、5月末までの3ヶ月の間に6万円以上の利益を上げています。
推奨証拠金は86,014円ですので、たった3ヶ月で7割以上も回収したことになります。
これで取引ロットは0.1ロット(1万通貨)ということは、0.01ロットまで落とせば証拠金は1万円以下でもいけることになります。
逆に、利益を大きくしたければ、推奨証拠金より大きな金額を積み増してロットを比例的に大きくすることもできます。
ナンピンもマーチンゲールもなしで保有するポジションも最大1つまで。そういうシンプルな構造なので、初心者にも使いやすいはず。
何より、含み損より含み益が目立っているなんて、非常識なEAです。
デメリット:フォワード期間が短いので実績不足
これまでの実績が素晴らしいとはいっても、しかしまだ3ヶ月です。
もう少し長い期間のリアル運用の実績は欲しいところ。
将来有望なEAのひとつとして、ぜひ経過観察していきたいですね。
また、バックテストを見ると姉妹作の「英独楽(EIKOMA)」と不調の時期を補い合っていることがわかります。
いっそのこと「英神楽」と「英独楽」の2つをポートフォリオとして同時運用するというのも面白そうです。
まとめ
・ 推奨証拠金を基準に収益の利益率を計算してみたら、同じリスクの下でEAの性能を比較できるようになりました
・ 過去1年間の期間における各種のランキング上位に君臨するEAを比較
・ その結果、リスクは高くても年利が低いEAや、リスクは低いのに年利が高い優良EAなど、本当の実力が一目瞭然