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ダウ理論の6つの基本原則と初心者が抑えておくべきポイント

ダウ理論の6つの基本原則と初心者が抑えておくべきポイント

トレードの基本は順張りのトレンドフォローだというのは定説です。・・・が、ではそもそも「トレンド」とは何でしょうか。

いま上昇しているな〜、下降しているな〜、と、なんとな〜く一方向に動いている値動きをしていること?

移動平均線がなんとなく斜めになって続いていること?

ボリンジャーバンドのバンドウォ−クをしている時が、なんとなくトレンド発生中?

そんななんとなくに頼らなくても、実は世界中のトレーダーが「これがトレンド」と定義づけている確固たる基本のキがあります。

それが、「ダウ理論」となんとなく呼ばれているものです。

(ダウ理論を “なんとなく” という理由は、この章を読み進めていただけるとわかるでしょう)

他のトレーダーがダウ理論をもとに「いまは上昇目線だ」「いや下降目線だ」「いや、相場は迷っている」と(ほぼ)統一見解を出しているとき、あなたも同じ目線を相場から読み取ることができるならば、これほど正しい環境認識はありませんよね。

本章では、実はあまり知られていないダウ理論を構成する6つの基本原則について、初心者が知っておいた方が良いと思われる内容を記していきます。

ダウ理論の6つの基本原則を現代風にアレンジ

あなたは、ダウ理論とはなんぞや?と聞かれたら、なんと答えるでしょうか。

「高値を切り上げて安値も切り上げたら上昇トレンドっていうやつでしょ」

といった、なんとなくの答えが聞こえてきそうです。

実は、ダウ理論についてウィキペディアで調べてみると、次の6つの項目で説明されています。高値安値のことは一言も出てきません。

・ 平均はすべての事象を織り込む
・ トレンドには3種類ある
・ 主要トレンドは3段階からなる
・ 平均は相互に確認されなければならない
・ トレンドは出来高でも確認されなければならない
・ トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する
 >>引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/ダウ理論

これらは、チャールズ・ダウ(1902年没)という証券アナリストが市場での相場の動きを評価するために提唱した理論を、後になってまとめられたものです。

つまり、ダウ理論はテクニカル指標というより、環境認識のための理論ということになりますね。世界の投資家が、いまの相場を上昇目線で見ているのか、あるいは下降目線で見ているのか、それを判断する基準になります。

では上記の6つの基本原則について、簡単ではありますが、それぞれ知っておいてほしいことを書いていきます。

平均はすべての事象を織り込む

ここでいう「平均」とは、英語ではマーケット(Market)と記されています。つまり、「相場」ということですね。「相場はすべての平均を織り込む」、と訳されることもあります。

値動きのひとつひとつというよりも、ざっくりと今見えている「相場」は全ての事象が反映していての、その結果だということです。

じゃあ、「全て」ってなんだ、世界中の経済指標や、世界中のトレーダーの分析しているテクニカルとか、とにかく全部か?

その通りでしょう。大多数のトレーダーが上昇中だと分析すればそれを「平均的に」反映した動きになりますし、逆に大多数が分析しても「よくわからん」となれば、相場だって迷いやすくなるのではないでしょうか。それらの「平均」された値が、相場に表れているということです。

それだけではありません。急な気候変動や天変地異だって、経済に影響を及ぼすのであれば相場を動かす要因になり得るでしょう。

面白いのは、トレーダーや市場の「心理」までが相場に織り込まれていることでしょう。

次の画像は、2011年東日本大震災の前後のUSDJPYチャート(週足)になります。

2011年3月11日の震災の日以前、大きなトレンドは下落中です。

震災発生/原発問題発生から円が売られて、4取引日の後には大きな足で安値を更新していますが、小さな流れは一旦上昇に転じています。

しかしこの逆行は以前までの流れの中にある逆行(一時的上昇)と大差がなく、間もなく震災後2ヶ月ほどで元の大きな流れに還りました。

その後、震災の爪痕を引きずる東北を尻目に、2012年2月からは中期的な波で大きめの上昇が発生。これは日銀が「金融緩和の一段の強化」と「物価上昇率1%を目処とする」と政策を組んだことによるのだといわれています。

つまり、日本でてんやわんやとしていた福島原発問題の余波も、市場では2ヶ月もすると過去のものとなり、世界の経済状況に引きずられて相場が動いていったのだとわかります。

このように、相場の値動きは全ての事象を織り込んでいるというのがダウ理論の基本原理のひとつです。

逆にいうと、今の相場の動きには何か理由がある、ということです。

アメリカの景気が好調で憂いもなければUSDJPYは高騰していくし、逆に米ドルが不安視されて日本円買いに逃げる傾向が強くなればUSDJPYは下降していきます。そのような大きな経済の流れの中で、時折ノイズとなる現象が起きても、平均として織り込まれ、大きな流れに還元していく。

そうだとしても、FX初心者のうちは、相場を動かしているものが何なのか、さっぱり分からないと思います。(私だってわかりません!)

だからといって投げ出すのではなく、心の隅でこういう原則があることを気にしながら相場に臨むことで、「あ、今の相場の流れを支配しているのはこれかもしれない」と、気付きがある日がやってきます。いつか。きっと。

 ダウ理論:平均はすべての事象を織り込む
 現代適用:平均はすべての事象を織り込む(今も昔も普遍の条理ですね!)

トレンドには3種類ある

ダウ理論ではトレンド、つまり上昇か下降の方向性を持って動く傾向の相場について、その期間によって3つの種類に分類しています。

  •  1年〜数年を要する大きなトレンド。
  •  3週間〜数ヶ月程度の中期のトレンド。
  •  3週間未満で終わる小さなトレンド。

だいたいこれぐらいの時間感覚でしょうか。解説する人によって、小さなトレンドは10日前後ぐらいだったりもします。

また、この中の中期のトレンドは、大きなトレンドの中での波の一部分を担っている場合もあります。同じように、小さなトレンドは中ぐらいのトレンドの一部分になることも。

3週間も続いたトレンドが小さなトレンドだなんて、ちょっと私たちが考えているトレードとは差がありそうですね。

それもそのはず、チャールズ・ダウが相場の研究をしていたのは今から100年以上前の19世紀後半。一番小さな時間軸は日足であった時代。しかも、現代の私たちがパソコンやスマホで見ているようにチャートがタイムリーに動くわけでもありません。翌日になってからようやく終値などが分かったともいいます。きっと、大きな模造紙に手書きで、毎日のデータを折れ線グラフ(ラインチャート)にして分析していたようなイメージではないでしょうか。

そんな時代ですから、今とはトレードの時間の感覚が違います。

しかしこれ、

「大きな時間の流れで見たトレンド」
「中ぐらいの時間の流れで見たトレンド」
「小さな時間の流れで見たトレンド」

・・・と考えると、マルチタイムフレーム分析と同じですね。

100年前の時代であれば、数年単位の大きなトレンドに乗るために、中期や短期のトレンドの転換からタイミングを計るようなトレードが主流だったと聞きます。

現代であればその逆に、大きな時間足のトレンドや相場環境を分析して、それを下位の時間軸でのトレードに活かすこともできます。良い時代になったものですね。

1年〜数年を要する大きなトレンド → 週足チャートで見るトレンド
3週間〜数ヶ月程度の中期のトレンド → 4時間足〜日足チャートで見るトレンド
3週間未満で終わる小さなトレンド → 1時間足チャートで見るトレンド

といった具合になってきます。

大きな時間軸のトレンドと、小さな時間軸のトレンドを分けて考えるべしという考えは、まさに現代のトレードの命題のひとつでもあります。さすが世界のチャールズ・ダウ師匠!といったところですね。

ダウ理論:トレンドには3種類ある
現代適用:各自間足にそれぞれのトレンドがあることを認識し、マルチタイムフレーム分析をするべし

主要トレンドは3段階からなる

チャールズ・ダウの時代では、相場から利益を得ようとする投資家は大きなトレンドに従って取引するのが多数派でした。そのため、『主要トレンド』というのは上記の3種類のトレンドのうちの「1年以上の大きなトレンド」のことを指しています。

しかし、今の時代ではトレードの時間軸といえば超短期のスキャルピング、1日〜数日で手仕舞いするデイトレード、そして数週間でも数ヶ月でもポジションを保有するスイングトレードと、それぞれ大きな(長期足の)トレンドでも小さな(短期足の)トレンドでも、まんべんなく投資家が狙っているので、そもそもの相場環境が違います。

ですので、現代の相場でいうところの『主要トレンド』とは、『私たちそれぞれがトレードしている時間軸で現れる大きなトレンド』、として捉えておく方が適当です。

例えば、1時間足のチャートを監視して環境認識している人は、1時間足チャートの縮尺を小さく(ローソク足が見える程度)したときに、左から右に大きく流れるトレンドのことです。

さて、ということで本題ですが、主要トレンド=大きなトレンドは3段階から構成されるというのがダウ理論の考え方です。

上昇トレンドを例にとって説明してみましょう。

第1フェーズ(先行期):相場が底値圏にあると感づいたベテラン投資家が、早くから買いを仕込んでいく時期です。相場は徐々に上向き始め、まだ大きなトレンドとはいえません。

第2フェーズ(追随期):上昇トレンドが勢いをつけてきたことを理解し、他の投資家たちも追随して買いを入れてきます。伸びが良く、大きなトレンドを形成していきます。第1フェーズで先行投資した投資家たちも、相場が思った通りの方向に動いたことでポジションを買い増しするかもしれません。

第3フェーズ(利食い期):先に買いを入れていた投資家たちが、相場に影響しそうなニュースや指標、あるいは噂などをきっかけに、ポジションを売り払って利食いしていきます。このため上昇相場は停滞し、これを見て他の投資家たちも薄利で撤退したり、早めの離脱で決済していきます。

こうして、ひとつの大きなトレンドは終わり、次のトレンドが発生していきます。

よく勉強している方は、「ああ、エリオット波動のことね」と、思うかもしれません。

しかしちょっと違います。

エリオット波動では上昇破と下降波の組み合わせになりますが、ダウ理論ではそれぞれの段階(第1フェーズから第3フェーズ)へ移行する間に、押し目などの調整期間が入るとは定義していません。

また、さらに穿った見方をすれば、上昇トレンドが終わった後に来るのは必ずしも下降トレンドだとも書いていません。一度上昇トレンドを終えた後、レンジを挟んでさらにまた上昇していくということだって考えられます。

というわけで、この原則を環境認識に当てはめるとすれば、

「急激な上昇があっても利食いが入って値動きが逆行するかもしれないから、安易な飛び乗りは要注意」

ということになります。例え、上昇トレンドがひと段落した後にまだ上昇する可能性があるとしても、です。

また、第3フェーズを意識して、

「急激な上昇がひと段落して上昇圧力が目に見えて弱くなったら、トレンド転換の可能性あり」

という警戒感も持っておいたほうがいいでしょう。

ダウ理論:主要トレンド(1年以上にわたる大きなトレンド)は3段階からなる
現代適用:それぞれの時間軸での大きなトレンドは、3段階からなる。

平均は相互に確認されなければならない

チャールズ・ダウの時代、それはアメリカが工業の生産力を伸ばして発展している時代でした.

鉄鋼、繊維、紙、機械、造船。多くの工業関連の会社の株が、魅力的な相場を築いていたことでしょう。

一方で、工業の生産が増えれば自然と多くなるものがあります。

それは、輸送です。

ダウは、工業関係の株価の平均が上昇するなら、輸送関連の株価の平均も同じように上昇するのが自然であると考えました。

だってそうでしょう。工場の生産が増えている(増益=株価に好影響)のに、それを輸送する鉄道の収益が同じように増えていなければ、作ったものはどうやって運んでいるんだ?ということになります。

工業関連の株価の平均が上昇しても、輸送関連の株価の平均が上昇していなかったら、何かがおかしい、ということになります。どちらか一方だけの相場でトレンドが出ているように見えたとしても、果たしてそのトレンドは信頼していいものでしょうか。

念の入ったことに、チャールズ・ダウは鉄道株9種、工業株2種からなる平均値をそれぞれ出して、これを指標として公表していました。当時はダウ平均(Dow Jones Average)と呼ばれたこの指標は、のちにダウ・ジョーンズ工業株30種平均(Dow Jones Industrial Average – DJIA)やダウ・ジョーンズ輸送株20種平均(Dow Jones Transportation Average, DJTA, DJT)などに発展していまも大きな経済指標として活躍しています。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、、、ではこれを、どうやってFXに活かすか、が問題ですよね。「平均は相互に確認」だといっても、FXの場合は?

例えば、チャールズ・ダウにならって株価を意識してみると、有名なところでは日経平均株価と為替のドル円(USDJPY)が同じような値動きをすると言われています。日経平均株価が上昇傾向にあれば、USDJPYも上昇傾向にある。下降のときもしかり。もちろん、別個の相場ですから、それぞれ違う動きをする時もあります。あくまでも、動きの傾向が似ているということです。

こうした2つの別個の相場が同じように動くことを「相関性が高い」といいます。

実は、FXの中だけで見ても相関性が高い通貨ペアどうしというのはいくつもあります。

 EURJPYとGBPJPY
 EURUSDとGBPUSD
 AUDUSDとNZDUSD

などなど。

上の2枚の画像では、相関の高い2つの通貨ペアの値動き(ラインチャート)を重ねて表示してみました。

1枚目はEURJPY(緑線)のチャートの上にGBPJPY(赤線)を、2枚目はAUDUSD(緑線)のチャートにNZDUSD(赤線)を重ねています。

どうでしょう、どちらも緑の線が上下に動くのとほぼ同じタイミングで赤の線も同じ方向に動いているのが見てとれます。

これは、それぞれ似たような動きをする理由があります。

日本円の場合は、ユーロや米ドルが不安視されれば、それらを売って日本円が買われる傾向にあるのでJPY関連の主要な通貨ペアが連動しますし、オーストラリアとニュージーランドはともに同じ経済地域にあるどころか鉱業国としても同じような地位にある、といったような事情です。

こうした相関性に着目して、複数の通貨ペアの動きを意識しながらトレードしてみるといいのではないでしょうか。ご自分で選んだそのペアの相関性がどうして高くなるのか、理由も合わせて納得できるような組み合わせを選ぶと良いでしょう。後に相関性が崩れたときに、その原因を探ることができるので安心して見ていられるようになります。

ただし、誤解しないでくださいね。トレンドが相互に確認されたということは、トレンドの継続を示唆しているというわけではありません。あくまで、同じような動きをするはずの別々の相場が足並みそろっていないのであれば、今のトレンドはアヤシいぞ、という意識を持つべしということです。

主要な通貨ペアの相関係数は、こちらのウェブサイトで見ることができますので、ご活用ください。

>> 相関係数分析/FXマーケット情報(松井証券)

ダウ理論:平均は相互に確認されなければならない
現代適用:相関の高い通貨ペアどうしで、相互に値動きが確認されなければならない。為替に限らず、株などの相場との相関でもよい。

トレンドは出来高でも確認されなければならない

出来高とは、株式相場でいえば取引された株数ですね。

特定時間の中(1本のローソク足の形成される間)により多くの株が取引されれば出来高は大きくなりますし、取引株数が少なければ出来高は小さくなります。つまり、ローソク足が大きければ出来高が大きくなり、ローソク足が小さければ出来高も比較的少なくなることが自然だということです。

逆に、ローソク足が大きいのに出来高が少ないとき、あるいはローソク足が小さくなっているにも関わらず出来高が増大しているような相場は、その値動きは信用できないから様子見したほうがよい、と考えます。

株の世界では、値動きとともにインジケーターで出来高(volume)を確認することは有用でしょう。

しかし私たちのフィールドは、FX。

実は、FXでは出来高という概念は難しい。取引所取引でないので、世界中でどれだけ円が売られたとかドルが買われたとか、集計が出せないのです。

出来高に相当するものとしてボリューム(Volume)というインジケーターがあります。

これは、一本が形成される過程で何回ティックしたかを表します。つまり、その足が確定するまでに、何回ピコピコ動いたかという数です。数字が大きければ、より多くの取引があったことを示します。ピコピコ動きが多くて取引が多かったということは、その分だけ多くのトレーダーがその値を意識して参戦もしくは撤退したということです。

ただし、上昇のティックが多かったのか、下降のティックが多かったのかはわかりません。ある日の日足のボリュームが10万だとしたら、そのうち値を押し上げた上昇ティックは3万回かもしれませんし、9万回かもしれません。

というわけで、繰り返しますが、FXでは出来高の概念は難しい。

ただ、幸いなことに、このボリュームの値動きに対する考え方は似ているところがあります。

つまり、

大きな足が出たときにボリュームが大きければ、その足は信頼できる。
小さな足が出たときにボリュームが小さければ、その足は信頼できる。

といったような考え方です。

どういうことかというと、、、逆を考えてみればわかりやすいかもしれません。

大きな足が出た=値が大きく動いたのにボリュームが小さいとき、これは市場参加者が少ないのに値が大きく動いたということになります。これは、為替操作が行われたのではないかと疑うことができますよね。大口の機関投資家がダマしを入れてきたか、あるいはFX業者がロスカット狩りを仕掛けたとか。

足が小さい=値動きの幅が小さいのにボリュームが不釣り合いに大きいのであれば、きっと相場はかなり迷っているのでしょう。市場参加者が激しく売り買いの攻防を繰り広げているようです。

市場参加者の多くが同意して、同じ方向に買いが集中すれば、ボリューム(ティック数)も上がって陽線の足が大きく伸びるというのは、まさに理想的な相場環境ではないでしょうか。

陰線の場合もまた同様です。大きな陰線を形成する過程でボリュームが大きければ、市場参加者の同意が多かった結果だという可能性が高いです。

ちなみに、、、ボリュームが大きい小さいって、数字でいえばいくつなの?なんて野暮なことを聞いてはいけません。前後に比べて比較的大きいか小さいか、という考え方で結構です。

このように、ダウ理論が言っている株の「出来高」と現代のFXの「出来高」は同じものとはいえないものの、同じ「ボリューム」というインジケーターで表されます。株では実際の株の売れる勢いでトレンドを計測するようですが、FXでは「市場参加者の数」で一本一本の足に現れるトレーダーの心理をひも解くためにあります。

なんだかちょっと難しそうですが、まずは上記に書いた簡単な判断の例を頭に入れておいて、あとは経験を積みながら、あなたなりの解釈を加えていけばよろしいでしょう。

ただし、これは本来のダウ理論の原則とは同じではないという前提ですので、ここではご参考としてください。

ダウ理論:トレンドは出来高でも確認されなければならない
現代語訳:(FXでは出来高の概念が違うので)トレンドは市場参加者の総意がある方に動く

トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する

トレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続する。つまり、転換して次のトレンドが確認されるまでは現在のトレンドが継続していると見なす、ということですね。

では、明確なトレンド転換とは、どのようなことでしょうか。それこそ、トレンドとは何なのか、その「定義」が必要になります。

ここで、ダウ理論ではなんとなく定説になっているのですが、「高値と安値がともに切り上がれば上昇トレンド。高値と安値がともに切り下がれば下降トレンド」という認識があります。ダウ理論のことを調べれば必ず出てくる、あの斜めに進むジグザグのことです。

名を与えるならば『ピーク・アンド・トラフ分析』(Peak-and-Trough Analysis)と言います。

しかしですよ、このジグザグの概念どころか高値とか安値という言葉さえ、ここまで見てきた「ダウ理論6つの原則」には書かれていません。

正直、私はダウ理論の原典を読んだことはないので、もしかするとそういった話も出てきているのかもしれませんが、少なくとも私がネット上で調べている限りでは、「ダウ理論の原典にこのように定義が記されているのだ」と教えてくれているウェブサイトは発見できませんでした。

ついでに言うと、ダウ自身が相場の波形を重要視していたかどうかも疑問です。ダウは押し戻りの調整波を単に「ノイズ」と呼んでいたようですから。

ということはですよ、ダウ理論では元々このような高安値の切り上げ切り下げでトレンドを判断するとは、決めていなかったかもしれません。(どなたか原典を読まれた方、教えてください!)

チャールズ・ダウの論じていたことを後に「ダウ理論」としてまとめあげたのは、ウィリアム・ハミルトンなどの人物です。私が推測するに、その辺りの研究者が、トレンドに定義を与えるために仮にピーク・アンド・トラフ分析を持ち出したのではないか、と考えたりもします。はい、根拠はありません。

そのように曖昧な出自のピーク・アンド・トラフ分析ではありますが、今やこれこそがダウ理論の核心であるかのように世界中のトレーダーに認識されています。それこそ、ダウ理論を学んだつもりで6つの基本原則を知らず、ピーク・アンド・トラフ分析の考え方だけ知っているという人がいるほどに。

なぜでしょうか。

それはきっと「ピーク・アンド・トラフ分析」では、その出自などどうでもよくなるぐらいに、抜群の説得力があるからではないでしょうか。誰もが納得できる完璧なトレンドの定義ですから。

私はその説を支持するとか、いやそんな仮説は間違っているとか、もはやそういった討論をしている場合ではありません。世界中のトレーダーが既にこの方法でトレンドを意識しているので、私たちも同じようにこれを認識して、トレンドの有無について考え方を統一しておかないといけないのです。

いわば、これがFXの基本のキになってしまっているのです。ただこの一点の事実だけで、ダウ理論に沿ったトレードをすることに優位性があると考えられます。

もっとも、ダウ理論だけでトレードをする投資家は多数派ではないでしょう。ピーク・アンド・トラフ分析に加えていくつかの条件でトレンド転換を判断するケースが多いようです。100年前と比べ、現代では数多くの分析手法やインジケーターが存在します。それらを組み合わせて自ら「明確な転換シグナル」を定めてトレードするとしても、ダウ理論の原則に沿っているといえるでしょう。

ダウ理論:トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する
現代適用:転換シグナルは主にピーク・アンド・トラフ分析を用いられていて、世界中のトレーダーが意識している

まとめ

・ 相場は波でできている。さざ波から大きなうねりまで、様々な波で構成されている。

・ ダウ理論は、この波の特徴をざっくりとつかむためのもの

・ ダウ理論の基本原則は100年前の株相場で提唱されたものであり、現代の為替相場では若干のアレンジが必要

・ いわゆるダウ理論 =ピーク・アンド・トラフ分析が世界中のトレーダーのトレンドの定義になっているのは、単純明快で使いやすいから


ということで、ダウ理論を構成する6つの基本原則を紹介しました。どれも重要な概念であり、知っておいて損はありません。

しかし現実には、一般的に意識されているいわゆるダウ理論というのは6つめの「トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する」という一項だけであり、しかもトレンド転換の基準は高値安値の切り上げ・切り下げに注視するピーク・アンド・トラフ分析一択です。

次回は、この最重要である「トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する」について深掘りしてみようと思います。

ダウ理論だけを見てトレードする方法なども考えてみましょう。

よろしければご一読ください。

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